配偶者控除等申告書とは?扶養控除等(異動)申告書との違いなど解説します!

配偶者控除等申告書とは?扶養控除等(異動)申告書との違いなど解説します!

年末調整の書類を見ていると「給与所得者の配偶者控除等申告書」という部分が出てきます。
こちらは記入スペースが多く、一見すると複雑に見えるため書き方が良くわからないという方も少なくないでしょう。

そもそも、配偶者控除等申告書とは何のことなのかよくわからないという方も多いでしょう。
そこで今回は、配偶者控除等申告書や基礎控除申告書の書き方や内容などについてご紹介します。

配偶者控除等申告書について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてくださいね。

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【目次】

配偶者控除等申告書とは?

  • 基礎控除申告書の書き方
  • 配偶者控除等申告書の書き方
  • 配偶者控除等申告書と扶養控除等(異動)申告書との違い

配偶者控除等申告書の注意点

まとめ

配偶者控除等申告書とは?

2020年から配偶者控除等申告書という年末調整の用紙が、※「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」という用紙に統一されました。この用紙の一部に、配偶者控除等申告書があります。

※令和6年分の申告書は、配偶者に係る「年末調整に係る定額減税のための申告書」との兼用様式となっています。

配偶者控除申告書とは、正式には「給与所得者の配偶者控除等申告書」と呼ばれ、配偶者控除や配偶者特別控除を受けようとする場合に、提出が必要となるものです。

配偶者控除等申告書は、配偶者控除と配偶者特別控除という二種類の控除について記載します。

この控除は、配偶者がいれば受けられる控除だというイメージを持つと良いでしょう。

給与所得者の配偶者控除等申告書は申告者の本年中の合計所得金額の見積額が1,000万円以下で、なおかつ同一生計の配偶者の本年中の合計所得金額の見積額が133万円以下の場合にのみ控除をうけることができます。
そのため、こちらの条件に該当しない場合は記載する必要がありません。

参照:国税庁「配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか

配偶者控除等申告書には、配偶者の氏名や生年月日、マイナンバー、住所、本年中の配偶者の合計所得金額の見積額を記載します。配偶者の所得金額や年齢、申告者の合計所得金額の見積額から配偶者控除・配偶者特別控除の控除額を割り出します。

また、用紙の中には「給与所得者の配偶者控除等申告書」以外にも、「基礎控除申告書」「所得金額調整控除申告書」の欄があります。

配偶者控除・配偶者特別控除の控除額を割り出すためには、まず申告者の「基礎控除申告書」で算出される控除額による「区分」が必要となります。

それでは、順番にみていきましょう。

配偶者控除等申告書の計算方法

配偶者控除等申告書では、配偶者控除と配偶者特別控除により所得からいくら差し引けるのかを計算する必要があります。計算の要素となるのは以下の通りです。

  1. 配偶者自身の今年の合計所得金額の見積額と年齢
  2. 申告者本人の今年の合計所得金額の見積額

基礎控除申告書の書き方

基礎控除申告書の書き方を記入例と共にご紹介します。基礎控除申告書の書き方は、複雑な点もあるので注意して記載しましょう。

「あなたの本年中の合計所得金額の見積額の計算」の欄

この欄には、合計所得金額の見積額を給与所得と給与所得以外の所得の合計額に分けて記載します。

給与所得

給与所得欄には、給与の額面金額である収入金額と所得金額を記載します。収入金額を集計したら、次は所得金額を計算しましょう。用紙の裏に早見表があるので、そちらを見ながら計算します。

記入例として、1年間の給与収入が350万円の場合、
該当する行の算式「①:(a)÷4(千円未満切捨て)=(b)→②:(b)×2.8-80,000円=所得金額」に金額を当てはめると、

①:350万円÷4(千円未満切捨て)=875,000円

②:875,000円×2.8-80,000円=2,370,000円

となります。

こちらの金額が給与所得の所得金額になります。また、複数の会社から給与をもらっている場合は、その給与の合計額を基に計算します。

給与所得以外の所得の合計

給与所得を終えたら、次は給与所得以外の所得の合計額を記載します。
この欄には、給与所得以外の所得を集計し、所得金額の合計額だけを記載するのです。そして、所得金額に記載された金額の合計額が本年中の合計所得金額の見積額になります。

「控除額の計算」の欄

続いて、「あなたの本年中の合計所得金額の見積額の計算」の計算に応じて区分にチェックを入れ、右側にある控除額を基礎控除の額の欄に記載します。基礎控除の計算はこれで終了です。

給与所得者の配偶者控除の欄で使うので、合計所得金額の見積額が1,000万円以下の場合は、(A)(B)(C)のいずれかを区分Iに記載するのを忘れないようにしましょう。


配偶者控除等申告書の書き方

まず配偶者控除等申告書に、 配偶者の氏名や生年月日、マイナンバー、配偶者が別居している場合には、配偶者の住所を記入します。

「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額の計算」の欄

この欄には、配偶者の合計所得金額の見積額を給与所得と給与所得以外の所得の合計額に分けて記載します。

合計所得金額の見積額

配偶者の給与所得の金額を記入します。所得金額を求める計算式は、基礎控除申告書と同じです。計算式に当てはめて算出された所得金額と給与所得以外の所得の合計所得金額が133万以下の場合のみ、配偶者控除等申告の対象となります。

判定

判定の欄で配偶者の年齢と所得金額で当てはまる箇所にチェックをいれます。これで区分Ⅱが決定します。

控除額の計算

「控除額の計算」表で、申告者の基礎控除申告で算出された「区分Ⅰ」と「区分Ⅱ」が交わる欄で控除額を確認します。
適用の欄で「配偶者控除」か「配偶者特別控除」かを確認し、該当の欄に金額を記載します。

配偶者控除等申告書の提出義務

配偶者控除等申告書は、年末調整で保険料控除や配偶者控除を受けない場合は、申告書の提出義務はありません。

しかし、会社側は従業員の控除適用状況を正確に把握する目的などから、全従業員からの提出を求め、保管を徹底することが大切です。

配偶者控除等申告書と扶養控除等(異動)申告書との違い

年末調整で提出が必要な書類の中に、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書があります。扶養控除等(異動)申告書にも配偶者に関わる情報を書くので、「似たような情報を二枚に渡って書く必要はあるのか?」と感じる方もいるでしょう。

ですが、配偶者控除等申告書と扶養控除等(異動)申告書は役割が異なるので注意が必要です。配偶者控除等申告書は今年分の年末調整の情報で、配偶者に関わる情報に限られます。

その一方で、扶養控除等(異動)申告書は来年の月々の給与から源泉徴収をする所得税を決めるための土台といった役割が大きいのです。源泉徴収税額も扶養状況で増減します。扶養控除等(異動)申告書には、配偶者だけではなく子供などの扶養親族の情報も記載するのです。

これをベースに、翌年度の月々の天引き額が決定します。また、提出義務があるのは扶養控除等(異動)申告書だけです。配偶者控除等申告書は、対象外となるなら提出する必要がありません。

配偶者控除等申告書の注意点

配偶者控除等申告書は要件が細かいので、記載を間違える可能性があります。
万が一、間違いを見つけたら必ず勤務先に連絡しましょう。

年内最後の給与に間に合う場合は、年末調整のやり直しができる可能性があります。
しかし、勤務先によっては確定申告をするように指示される場合もあります。その場合は、翌年の3月15日までに自分で確定申告を行いましょう。

まとめ

配偶者控除等申告書について詳しく知ることはできましたか?
配偶者控除等申告書は、簡単に言うと、配偶者控除と配偶者特別控除の二つに関して申告する用紙の事です。

配偶者控除等申告書は一見難しそうに感じますが、内容をよく知ることで記入することも簡単に思えるでしょう。
ぜひ、この記事を参考に、配偶者控除等申告書を間違えないように記載して下さいね。

HR-GET編集部

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