社労士として選ばれる理由とは?その③評価基準
前回までのコラムでは、選ばれる理由その①ではランチェスター理論の説明をしました。また、選ばれる理由その②では顧客接点が大事だという事で、メラビアンの法則の話をしました。
それでは、最後に選ばれる理由その③として評価基準の話をしたいと思います。この評価基準は「選ばれる理由」の他にも「選ばれ続ける理由」にもなる大事なものになります。つまり、人間関係のお付合いで説明すると、メラビアンの法則が「人の見た目」であるのに対して、評価基準は「人の中身」ということにもなります。
評価基準とは?
評価基準とは、商品やサービスを選ぶ際に人が付けている評価の基準となるものを指します。
例えば、レストランに対しての評価基準であれば、「美味しさのレベル」「接客のレベル」「お店の雰囲気」「美味しさや接客に対して価格が釣り合っているか?」「お店の立地」などがあります。この評価基準に対してお客様満足度が高ければ高いほど、お客様からのリピート率も高くなりますし、お客様からの口コミや紹介も増えて、より多くのお客様で賑わう事になります。
この評価基準と言うものは、どんな商品やサービスにも存在しており、もちろん社労士という仕業にも存在しています。
社労士としての評価基準
社労士に限った話ではありませんが、仕業などの先生業に対しての評価基準は「問合せに対するレスポンスの良さ・速さ」「相談のしやすさ」「説明の分かりやすさ」「仕事の完了までのスピード感」「プロフェッショナル感」「費用に対する納得感」などになってきます。
それでは順番に説明していきます。
1.問合せに対するレスポンスの良さ・速さ
この「問合せ」とは、契約前の問合せと契約後の問合せに対しての両方を指します。
例えば、初めてホームページに入ってきた見込み客が、問合せフォームからメールにて「御社のサービス内容と料金プランについて知りたいので、連絡が欲しい」と来た場合に、すぐにメールか電話にて返信することで、相手への安心感や信頼感が高まります。対応スピードは1時間以内が理想ですが、その日中であれば問題はありません。
この新規の問合せに対する対応は、お客様にとってはそっくりそのまま契約後の対応と同じだと認識されます。つまり、ここでの対応が早くて良ければ、「この社労士(この社労士事務所)は、契約後もしっかりとやってくれるんだろうな」という印象を与えます。もちろん、契約後も問合せに対するレスポンスの良さやスピードは、契約の継続率(解約率の低下)にも繋がっていくのです。
2.相談のしやすさ
どうしても先生業は「近寄りがたい、気難しそう、こんな簡単なことを相談してもいいのかしら?まずはネットを見て自分で調べた上で質問した方がいいかな?」など考えてしまうお客様も少なくありません。
しかし、社労士の先生としても、せっかく契約しているのですから、どんな簡単な質問でもウェルカムなスタンスを取らなくてはなりません。お客様からの相談を待つ、質問を待つというのではなく、自分からいろいろと話しかけて説明や提案をしていくうちに、お客様も自然と近づくようになり簡単な質問をしてくるようになります。
「私のお客様は全然質問してこないな?相談してこないな?」と思っていたら、それは危険信号です。突然、解約の連絡が来る可能性があります。そうならないためにも、相談のしやすさを日々心掛けて、自分から積極的に声をかけていくようにしましょう。
また、お客様からは先生と言われることも多い職業になりますが、偉そうな態度や上から目線での対応をすることないように心がけた方が良いでしょう。
更に、最近だと、相談や質問が実際に合わずに、メール、オンラインミーティング、チャット、LINEなどのツールを使う事も多くなりました。これらのツールもこれからの社労士も使いこなせるようになる必要もあります。これらのツールを使う事で、相談のしやすさの他にタイムリーなレスポンスが出来るために、レスポンスのスピードにも繋がってくるのです。
3.説明の分かりやすさ
これは、問合せに対するレスポンスと同じことなのですが、契約前と契約後も同じです。
まず、契約前に問合せでお客様から聞かれたことを、分かりやすく丁寧に説明してくれるだけで、「この社労士(この社労士事務所)は説明が分かりやすいからお付合いしたい!」となる可能性が高くなります。また、契約後も極力、法律用語や専門用語を使わずに分かりやすく説明してくれる方が、お客様も理解や納得もしやすくなるので、顧客満足度にも繋がります。
この説明の分かりやすさというものは評価基準の中でももっとも大事な要素になります。
いくら仕事のスピードが速くても、いくら費用が安くても、お客様に仕事内容を理解してもらえなければ、意味がないからです。
社労士の先生は、いつでも相手の立場を考えて、相手が理解できるのかどうか?相手が理解しているのかどうか?を考えなら説明をする習慣を身に付けることが必要となります。
4.仕事完了までのスピード感
いくら相談がしやすくても、説明が分かりやすくても、費用が安くても、仕事完了が遅いようでは問題があります。
お客様と初めに相談されて、「今回の仕事の内容だと1か月ぐらいで対応できます」と自分が説明したにもかかわらず、2か月間かかってしまった。なんてことになるとお客様からの信頼を失う事になります。また、毎回毎回お客様が期待する納期感よりも完了スピードが遅いようだと、お客様満足度の低下につながります。つまりは解約になります。
この仕事完了に対するスピード感はお客様によって全員違いますが、判断は次のように考えます。
- お客様に「どれくらいを納期としてお考えなのか?」と聞く。
- こちらの仕事の都合も考えてどれぐらいかを考える。
- 一般的には(他の社労士なら)どれぐらいの納期が妥当なのかを考える。
この3つを勘案しながら、納期の提案をしてみると良いでしょう。もちろん、お客様の納期を完全に守るのが一番大事なことなのですが、お客様の中でも「この納期は絶対!」というものもあれば、「この納期は少しぐらい遅れても全く問題ない」というものも必ず存在します。
お客様の納期感を確認しながら、仕事のスピード感を調整していくといいでしょう。
5.プロフェッショナルレベル
これは、新人社労士には難しいことですが、最後に求められるものがこのプロフェッショナルレベルです。
例えば、聞かれたことに納得いく回答が毎回できる。仕事のスピードも速い。説明が非常にわかりやすい。知識が豊富で、毎回新しいネタを教えてくれる。提案力があり、様々なコンサルをしてくれる。今までの経験から、同業他社の事例などが沢山あり、道標となるような指針を打ち出してくれる、などです。
ただ、評価基準の中ではこれは最終基準となりますので、今は無理であっても全く問題ありません。将来の目標としましょう。
もちろん、プロフェッショナルレベルが高ければ高いほど、報酬が高くなりますので、お客様としてもそこまで求めていない場合もあります。自分のレベルを上げながら、お客様の満足度を見ながら、自分の報酬体系を考えていくといいでしょう。
6.費用に対する納得感
これは、先ほどのレストランの事例を考えてみるとよくわかるかと思います。
費用とは要はそのサービスや商品の総合力の評価なのです。ここまで評価基準で説明した①~⑤の総合力で、費用に対する納得感が決まるわけなのです。
総合力が高ければ高いほど、高い報酬・費用でも納得してもらえますが、総合力が低ければ低いほど、報酬や費用に対する納得感が低くなります。つまり、総合点に見合う報酬や費用であれば問題ないという事になります。
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〈作者紹介〉
代表取締役 青木義郎
〇中小企業経営コンサル 〇開業支援コンサル
人材採用と人材教育の表裏一体の人材戦略に力を入れることで経営戦略を軌道に乗せることを得意としている。