健康診断の必要性は? どんな種類がある?
会社で実施する健康診断は、労働安全衛生法第66条に基づき、常時使用する労働者に対して、年に一度、厚労省令で定めるところにより、医師による健康診断を義務づけているもので、労働者は受診しなければなりません。健康状態の維持と、早期の病変の発見を目的に行われるものです。
健康診断の他に、個人が任意でさらに詳しい検査を含めた人間ドックがあります。各種健康診断の種類や項目、実施後に行う対応、取組み等についてみていきましょう。
1.健康診断の種類
1)一般健康診断
(厚労省資料より抜粋)
2)その他健康診断
有害な業務に常時従事する労働者等に対しては、原則、雇入れ時、配置替えの際及び6ヶ月以内ごとに1回(じん肺健診は管理区分に応じて1~3年以内ごとに1回)、それぞれ特別の健康診断を実施しなければなりません。
2.一般健康診断の項目
※2:定期健康診断(安衛則第44条)における健康診断の項目の省略基準
定期健康診断で、以下の健康診断項目については、それぞれの基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは省略することができるとされています。
3.特定業務従事者の健康診断
下記の業務に常時従事する労働者については 6ヶ月毎以内に1 回、定期健康診断を実施する必要があります。
(労働安全衛生規則第13条1項第2)
(6月に1回)
- 既往歴及び業務歴の調査
- 自覚症状及び他覚症状の有無
- 身長、体重、腹囲、視力及び聴力検査
- 血圧測定
- 貧血検査(血色素量及び赤血球数の 検査)
- 肝機能検査
- 血中脂質検査
- 血糖検査
- 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の 検査)
- 心電図検査
- 胸部エックス線検査及び喀痰検
4.海外派遣労働者の健康診断
事業者は、労働者を本邦外の地域に6ヶ月以上派遣しようとする場合、派遣された労働者を国内に従事させる場合等は、当該労働者に対し、厚労省が定める項目のうち医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければならない。」とされています。(労働安全衛生法第45条2)
- 腹部画像検査
- 血液中の尿酸の量の検査
- B型肝炎ウイルス抗体検査
- ABO式及びRh式の血液型検査
- 腹部画像検査
- 血液中の尿酸の量の検査
- B型肝炎ウイルス抗体検査
- 糞便塗抹検査
5.歯科健診
労働安全衛生法66条に義務付けされている健康診断には、歯などに有害な業務に従事する労働者に対して実施する「歯科医師による健康診断」があります。歯科健診に必須の条件である「有害な業務」は、次のように規定されています。(安衛法施行令第22条第3項、労働安全衛生規則第48条)
- 雇入れの際
- 対象業務への配置替えの際
- 対象業務についた後6ヶ月以内ごとに1回
政府は、年齢を問わず1年に1回の歯科健診の受診を義務づけることで歯の健康を守っていくのが目的で「国民皆歯科健診」導入を検討しており、今後、歯科健診のニーズは高まっていくことが予想されます。健康保険組合などでは無料の歯科健診が実施されていることもありますので積極的に活用しましょう。
6.健康診断実施後の対応について
健康診断を実施した後は、事業者は以下対応、取組みも行う必要がありますので、忘れないようにしましょう。
1)健康診断の結果の記録
2)健康診断の結果についての医師等からの意見聴取
3) 健康診断実施後の措置
4)健康診断の結果の労働者への通知
5)健康診断の結果に基づく保健指導
6)健康診断の結果の所轄労働基準監督署長への報告
おわりに
自身の健康維持と病変の早期発見を目的に行われる健康診断を必ず受診しましょう。