社会保険労務士として選ばれる理由

社会保険労務士として選ばれる理由

社労士(社会保険労務士)として生きていくには、お客様から仕事を受注する必要がある訳ですが、お客様から仕事を得るには当然ですが、お客様から選ばれなければなりません。これは社労士に限らずどんな職業についても同じことが言えると思います。

それでは、仕事を沢山受注するにはどのようにしたらいいのでしょうか?どうすれば、お客様に選ばれるようになるのでしょうか?今回は選ばれる方法を説明したいと思います。

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その①ランチェスター戦略(ランチェスターの法則)

ランチェスター戦略は、イギリスのエンジニア、フレデリック・ランチェスター(1868〜1946年)が第1次世界大戦の際に提唱した数理モデルのことですが、簡単に言うと、「戦闘力=兵力の質×量」で決まるというものです。

兵力数が同じならば武器性能の高い方が勝ち、同じ武器性能ならば兵力数の多い方が勝つといった単純明快な理論ですが、実際活用するとなると奥深いのです。

例えば、歴史の教科書で習った「桶狭間の戦い」ですが、織田信長が10倍~20倍もの兵力数がある今川義元に勝つことが出来たのも、このランチェスター戦略と言われております(この時代にはランチェスター理論は存在しませんが、孫氏の兵法で似たようなものがある)。

広い場所でまともに2千人対2万人で戦えば、2千人の方が勝てるわけはないのですが、狭い場所(局地戦)で敵が2千人以下になる場所で戦う事で、織田信長は自分よりも力のある敵を倒すことが出来たのです。つまり、敵との接点(局所的)において戦闘力が強い方が勝つという事です。

ランチェスター戦略を応用する

それでは、ランチェスター戦略を使って、仕事を取得する上で応用してみるとどのようになるのでしょうか。

「戦闘力=兵力の質×量」で決まりましたが、仕事を取得する上でも同じような理論が成り立つことに気付くはずです。「営業力(受注率)=営業能力×営業量」という図式です。

営業能力がいくら高くとも営業量が少なければ仕事を取る確率は減りますが、逆に営業量がいくら多くとも営業能力が低ければこれもまた仕事の受注率は減ります。これは、先ほどの兵力の質と量と同じ関係であると言えます。

営業力よりもマーケティング力

時代が変化するとともに仕事のやり方が変わってくるのと同じで、営業手法も時代とともに変化していきます。そして、ここ20年程でマーケティングの重要性が叫ばれるようになりました。営業よりもマーケティングが大事だと言われるようになったのです。

マーケティングとは狭義で言えば「宣伝・広告・PR活動・市場調査」等になりますが、広義で言うと「仕事を取るうえでするべきこと全て」という意味になります。つまり広義で言うマーケティングの中には営業も含まれるという事になるのです。

ピーター・ドラッカーは「マーケティングの目的は、販売(営業)を不必要にすることだ。 マーケティングの目的は、顧客について十分に理解し、顧客に合った製品やサービスが自然に売れるようにすることなのだ」と言っています。これが営業<マーケティングと言われている理由なのです。

社労士とマーケティング力

ここまでに述べたように、「営業力(受注率)=営業能力×営業量」と言う図式は時代の変化によって、「仕事の受注率(受注量)=マーケティング力」というように変化するようになりました。

社労士として仕事を取ってくる(お客様から選ばれるようになる)には、今やマーケティング力は必須と言わざるを得ません。

その②顧客接点を増やすことが大事

社労士が実際に仕事を受注するにあたり、もっとも先にやらなければならないことは、顧客との接点を増やすことです。逆に言うと、顧客接点がない限り、仕事が増えることはあり得ません。

顧客接点と言うのは、昔で言えばその名の通りで顧客に実際に会う事になります。知り合いからの紹介で顧客と会う。会社の看板を見て入ってきた顧客と会う。異業種交流会に行って、人と会う。このように、昔ながらの営業での顧客接点がまずあります。

その他に、マーケティング観点からみた顧客接点があります。インターネットで検索してヒットしたお客様が御社のホームページを見る。この場合、人と人とは実際に会っている訳ではありませんが、お客様となりうる人が御社のホームページと接点を持ったという事で、実際の営業よりも具体的でお客様になる可能性が高い人と顧客接点を持つことになります。

または、Facebook、Instagram、X(旧Facebook)などのSNSを使う事で、顧客接点を多く持つことも大事になってきます。企業にダイレクトメールを送ることも顧客接点の一つです。

このように、営業で顧客接点を増やしたり、マーケティング力を高めることで顧客接点を増やしていくことで、ランチェスター戦略で言う、戦闘力を高めていくことが出来るようになります。兵隊の量が増えることと同じ理屈ですね。

顧客接点時の印象力が大事

実際に顧客接点数をいくら増やしても、社労士本人の印象が悪ければ、お客様に選ばれることはありません。つまり仕事を受注することはあり得ません。

実際に人と会うという顧客接点の他、マーケティング力でいう顧客接点でも同じことが言えます。

例えば、せっかくインターネットで検索して御社のホームページにたどり着いた見込み顧客がいたとしても、ホームページの印象が悪ければ、そこですぐに離脱して二度と戻ってくることはありません。つまり顧客接点量が多くても、接点時の印象力が非常に大事になってくるのです。

つまり、ランチェスター戦略で言うと「仕事の受注率(受注量)=マーケティング力=顧客接点量×印象力」と言う感じになるのです。このことは、いくら印象力が良くても、顧客接点量が少なければ、仕事の受注率(受注量)は増えないという事にもなります。

メラビアンの法則

メラビアンの法則とは、人と人とのコミュニケーションにおいて、言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%のウエイトで影響を与えるという心理学上の法則の1つです。

数年前に、「人は見た目が9割」と言う本が流行しましたが、元となる考えもこの法則から来たものと言われております。この場合は、実際に人と人が出会った場合の顧客接点の場合に、見た目と話し方が大きな印象力を与えるという事なのですが、マーケティングでも見た目は非常に大事になります。

ホームページを見る場合に、書いている文章の内容はお客様に選ばれる大事な要素になってきますが、社労士(先生業)に仕事を依頼することを考えた場合、その人の写真の印象(見た目)が非常に大きなウエイトを占めることになります。

つまり、写真の撮影もマーケティング力として大事な要素になってきます。そう考えると、社労士としてマーケティング力を高めて、仕事を受注していく、選ばれる大きな要素として、プロカメラマンに写真撮影を依頼するという事も必要な経費として見ておかなければなりません。

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その③評価基準

評価基準とは、商品やサービスを選ぶ際に人が付けている評価の基準となるものを指します。

例えば、レストランに対しての評価基準であれば、「美味しさのレベル」「接客のレベル」「お店の雰囲気」「美味しさや接客に対して価格が釣り合っているか?」「お店の立地」などがあります。この評価基準に対してお客様満足度が高ければ高いほど、お客様からのリピート率も高くなりますし、お客様からの口コミや紹介も増えて、より多くのお客様で賑わう事になります。

この評価基準と言うものは、どんな商品やサービスにも存在しており、もちろん社労士という仕業にも存在しております。

社労士としての評価基準

社労士に限った話ではありませんが、仕業などの先生業に対しての評価基準は下記のようなものになります。「問合せに対するレスポンスの良さ・速さ」「相談のしやすさ」「説明の分かりやすさ」「仕事の完了までのスピード感」「プロフェッショナル感」「費用に対する納得感」などになってきます。

それでは順番に説明していきます。

1:問合せに対するレスポンスの良さ・速さ

この「問合せ」とは、契約前の問合せと契約後の問合せに対しての両方を指します。

例えば、初めてホームページに入ってきた見込み客が、問い合わせフォームからメールにて「御社のサービス内容と料金プランについて知りたいので、連絡が欲しい」と来た場合に、すぐにメールか電話にて返信することで、相手への安心感や信頼感が高まります。対応スピードは1時間以内が理想ですが、その日中であれば問題はありません。

この新規の問合せに対する対応は、お客様にとってはそっくりそのまま契約後の対応と同じだと認識されます。つまり、ここでの対応が早くて良ければ、「この社労士(この社労士事務所)は、契約後もしっかりとやってくれるのだろうな」という印象を与えます。もちろん、契約後も問合せに対するレスポンスの良さやスピードは、契約の継続率(解約率の低下)にも繋がっていくのです。

2:相談のしやすさ

どうしても先生業は「近寄りがたい、気難しそう、こんな簡単なことを相談してもいいのかしら?まずはネットを見て自分で調べた上で質問した方がいいかな?」など考えてしまうお客様も少なくありません。

しかし、社労士の先生としても、せっかく契約しているのですから、どんな簡単な質問でもウェルカムなスタンスを取らなくてはなりません。お客様からの相談を待つ、質問を待つというのではなく、自分からいろいろと話しかけて説明や提案をしていくうちに、お客様も自然と近づくようになり簡単な質問をしてくるようになります。

「私のお客様は全然質問してこないな?相談してこないな?」と思っていたら、それは危険信号です。突然、解約の連絡が来る可能性があります。そうならないためにも、相談のしやすさを日々心掛けて、自分から積極的に声をかけていくようにしましょう。

また、お客様からは先生と言われることも多い職業になりますが、偉そうな態度や上から目線での対応をすることないように心がけた方が良いでしょう。

更に、最近だと、相談や質問が実際に合わずに、メール、オンラインミーティング、チャット、LINEなどのツールを使う事も多くなりました。これらのツールもこれからの社労士も使いこなせるようになる必要もあります。これらのツールを使う事で、相談のしやすさの他にタイムリーなレスポンスが出来るために、レスポンスのスピードにも繋がってくるのです。

3:説明の分かりやすさ

これは、問合せに対するレスポンスと同じことなのですが、契約前と契約後も同じです。

まず、契約前に問合せでお客様から聞かれたことを、分かりやすく丁寧に説明してくれるだけで、「この社労士(この社労士事務所)は説明が分かりやすいからお付合いしたい!」となる可能性が高くなります。また、契約後も極力、法律用語や専門用語を使わずに分かりやすく説明してくれる方が、お客様も理解や納得もしやすくなるので、顧客満足度にも繋がります。

この説明の分かりやすさというものは評価基準の中でももっとも大事な要素になります。
いくら仕事のスピードが速くても、いくら費用が安くても、お客様に仕事内容を理解してもらえなければ、意味がないからです。

社労士の先生は、いつでも相手の立場を考えて、相手が理解できるのかどうか?相手が理解しているのかどうか?を考えなら説明をする習慣を身に付けることが必要となります。

4:仕事完了までのスピード感

いくら相談がしやすくても、説明が分かりやすくても、費用が安くても、仕事完了が遅いようでは問題があります。

お客様と初めに相談されて、「今回の仕事の内容だと1か月ぐらいで対応できます」と自分が説明したにもかかわらず、2か月間かかってしまった。なんてことになるとお客様からの信頼を失う事になります。また、毎回毎回お客様が期待する納期感よりも完了スピードが遅いようだと、お客様満足度の低下につながります。つまりは解約になります。

この仕事完了に対するスピード感はお客様によって全員違いますが、判断は次のように考えます。

  1. お客様にどれくらいを納期としてお考えなのかを聞く。
  2. こちらの仕事の都合も考えてどれぐらいかを考える。
  3. 一般的には(他の社労士なら)どれぐらいの納期が妥当なのかを考える。

この3つを勘案しながら、納期の提案をしてみると良いでしょう。もちろん、お客様の納期を完全に守るのが一番大事なことなのですが、お客様の中でも「この納期は絶対!」というものもあれば、「この納期は少しぐらい遅れても全く問題ない」というものも必ず存在します。

お客様の納期感を確認しながら、仕事のスピード感を調整していくといいでしょう。

プロフェッショナルレベル

これは、新人社労士には難しいことですが、最後に求められるものがこのプロフェッショナルレベルです。

例えば、聞かれたことに納得いく回答が毎回できる。仕事のスピードも速い。説明が非常にわかりやすい。知識が豊富で、毎回新しいネタを教えてくれる。提案力があり、様々なコンサルをしてくれる。今までの経験から、同業他社の事例などが沢山あり、道標となるような指針を打ち出してくれる。などなどです。

ただ、評価基準の中ではこれは最終基準となりますので、今は無理であっても全く問題ありません。将来の目標としましょう。

もちろん、プロフェッショナルレベルが高ければ高いほど、報酬が高くなりますので、お客様としてもそこまで求めていない場合もあります。自分のレベルを上げながら、お客様の満足度を見ながら、自分の報酬体系を考えていくといいでしょう。

費用に対する納得感

これは、先ほどのレストランの事例を考えてみるとよくわかるかと思います。

費用とは要はそのサービスや商品の総合力の評価なのです。ここまで評価基準で説明した①~⑤の総合力で、費用に対する納得感が決まるわけなのです。

総合力が高ければ高いほど、高い報酬・費用でも納得してもらえますが、総合力が低ければ低いほど、報酬や費用に対する納得感が低くなります。つまり、総合点に見合う報酬や費用であれば問題ないという事になります。

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 〈作者紹介〉

地域ビジネスマーケティングコンサル青空株式会社
代表取締役 青木義郎
〇中小企業経営コンサル 〇開業支援コンサル
人材採用と人材教育の表裏一体の人材戦略に力を入れることで経営戦略を軌道に乗せることを得意としている。

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