社会保険労務士 独立開業準備に必要なもの
社労士試験に合格して、いよいよ独立開業をしようとする前に、急いで失敗するよりも事前にしっかりと準備する必要があります。
独立するための開業準備には様々なものがあります。資金的なもの、開業手続き的なもの、事務所や備品的なもの、人脈的なもの、営業・マーケティング的なもの、商品・サービス的なもの、メンタル的なもの、などなど実に多くの準備が必要になります。
これらを初期の段階で完璧に準備することは非常に難しい事ですが、意識しておくことが大事になってきます。
資金的な準備
社労士一本で独立開業をするとなると、軌道に乗る為に最低でも半年から1年間はかかります。そうなると、それまでに必要となる生活資金を用意しておかなければなりません。例えば、毎月30万円生活費がかかるとしたら最低でも180万円。余裕を見るならば360万円はあったほうが安心でしょう。また、前回のコラムでも説明しましたが、開業資金には100万円程度はかかります。
※参考記事:社労士開業費用は?
その他、毎月の運転資金として事務所費(自宅で開業するなら不要)、光熱費、通信費、Faxのリース代、移動費など、10万円程度は見ておく必要があります。運転資金を1年間分と考えると120万円必要になりますので、合計費用として500~600万円は準備しておいた方がいいでしょう。
融資を検討する
すべてを自己資金で準備する場合が難しい場合には、融資を検討するといいでしょう。
融資を受ける先としては、メガバンク、地方銀行、信用金庫、政府系金融機関など、様々ありますが、創業融資となると事業としての実績がないために、メガバンクはなかなか希望通りの融資をしてくれないことがあります。
初期段階では、地元の地方銀行や信用金庫が親身となって相談に乗ってくれますが、一番のお勧めは政府系金融機関の日本政策金融公庫です。日本政策金融公庫は、創業者向けに新創業融資制度というものがあり、創業計画書が必要となりますが、原則は無担保・無保証で融資を受けることが出来ます。
事業用の口座を開設する
個人事業主として独立開業するとしても、個人の口座と仕事の口座を分けた方がいいでしょう。お金の管理をしっかりすることで、自分の事業の収支がプラスなのかマイナスなのかを判断できるようになります。
また、確定申告をするときに自分でするにしろ、税理士に依頼するにしろ、口座が分かれていた方がスムーズです。更に、クライアントに請求書を出す際に口座が地方銀行や信用金庫などの地元の企業よりも、メガバンクの方がお取引しやすい場合もあります。
副業を検討する
開業資金の事を考えると、一気にハードルが高くなるように感じることがあります。500~600万円を貯めるとなると数年かかりますし、無担保・無保証と言え、お金を借りることに抵抗がある人が少なくありません。開業したからと言って、実際に1年以内に成功する保障は何もありません。
そこで、ここ最近増えているのが、副業と言う働き方です。最近は企業でも副業を認めることが多くなってきました。社労士としての仕事の軌道が乗るまで、副業として働くという選択肢もあります。またアルバイトなどで必要最低限の生活費を稼ぎながら、社労士としての仕事を受注していくという方法もあります。
開業手続き
社労士として独立開業するには社労士名簿への開業登録が必要となります。
登録には社労士試験に合格していることに加えて、2年以上の労働社会保険諸法令に関する実務経験が必要となります。
実務経験が2年に満たない場合は、連合会が実施する事務指定講習の終了が、これと同等以上の経験を有するものと認められています。実務経験を積みながら、開業資金を貯めるという方法が確実ですが、実務知識は開業してからでも積むことはできますので、早く開業したい人はこの2年間をショートカットするのもいいでしょう。
都道府県の社労士会の入会手続き
社労士は登録した際に、都道府県の社会保険労務士会(社労士会)の会員となる手続きもすることになっています。
入会するのは、開業する事務所、もしくは勤務先事務所の所在地または居住地の住所の区域に設立されている都道府県の社労士会となります。ですので、自宅とは別に事務所を構える場合には、事務所がある都道府県の社労士会に所属することになります。
自宅開業の場合は、自宅が周知されてしまうので、プライバシーの問題や女性の方で自宅を知られたくない場合などは、レンタルオフィスなどを事務所として登録するのも一つの手です。
税務署へ開業届
開業することが決まったら、税務署に行って個人事業としての開業届を出さなければなりません。
この時に、屋号が必須になりますので、屋号を考えておきましょう。屋号とはお店の名前のようなものなので、一般的には自分の苗字を使って、〇〇社労士事務所で問題ありません。ある程度、売上が確保できるようになってから法人成りすると株式会社〇〇や〇〇株式会社となります。
また、税務署に行った時には所得税の青色申告承認申請書の提出はしておきましょう。青色申告をしておくことにより、確定申告時に条件によって、特別控除が受けられるのでお得になります。
また、独立開業ではなく副業であったとしても、売上げがある以上は個人事業主としての開業届は必要になりますので、税務署には必ず行ってください。
表札
自宅で開業する場合には、家の表札に屋号や社名を追加する必要があります。
社労士としての郵便物が届かないと大変なので、屋号や社名が決まったら、表札に必ず追加しておきましょう。
事務所・備品等
※以前のコラムでも説明しましたが、社労士にとって事務所の場所は大きな問題ではありません。駅前の一等地に事務所を構えたとしても利便性は上がりますが、営業的に優位に立つことはありません。
※「社労士開業費用は?」事務所を借りるか自宅を事務所にするかを考える
独立開業時は、様々な経費が掛かりますので、極力毎月のランニングコストを安く済ませる必要があります。社労士としての仕事の軌道が乗るまでは、自宅を事務所としても全く問題がありません。
ただ、家庭の事情などで自宅だと仕事に集中できないなど理由がある場合は、レンタルオフィスなどを借りる方法もあります。レンタルオフィスならば月々1万円~2万円程度でも借りることが出来るので、事務所を借りるよりは圧倒的に経費を削減させることが出来ます。
事務備品
また、メールアドレスも個人のものではなく、仕事用のメールアドレスを作っておくことをお勧めします。
社労士向け専用ソフト(システム)
社会保険労務の仕事は多岐にわたり、給与計算や労務関係の手続きは手間がかかります。
クライアントから依頼された仕事に対して正確に対応しなければなりません。1度でもミスが起こると信頼を失う事になり、仕事を打ち切られる可能性も出てきます。そんなことがないように、給与計算ソフトや労務管理ソフトの導入は必須になります。
ネットで調べれば、様々な社労士専用ソフト(システム)がありますが、新人社労士にとってあまりにも多くの機能があっても使いこなすことが大変になります。必要最低限の機能があり、アフターがしっかりしている会社のソフト(システム)を選ぶようにしましょう。
会計ソフト
開業するとなると、毎月の経費や収入などの帳簿を付ける必要があります。
税理士に依頼すれば、それらのこともお任せできますが毎月の費用が安くても1万円~2万円、確定申告時には10万円以上かかってしまいます。開業初年度から沢山稼ぐことが出来れば、税理士に支払う余裕もあると思いますが、順調にいかなかった場合には経費ばかりかかって赤字になってしまいます。
また、自分で会計ソフトを使う事で、会計や経理のことも理解できるようになるので、売上が少ない数年は自分でやることをお勧めします。ある程度売り上げが上がって、本業が忙しくなってから、税理士に依頼しても遅くはありません。
営業ツールとマーケティング
名刺は単に名前と連絡先が分かる為にお客様に渡すのではありません。社労士として何が得意なのかを相手に知ってもらうためにも必要になってきます。また顔を覚えてもらうためにも名刺には自分の顔写真を入れた方がいいでしょう。
名刺は焦らずにじっくり内容を考えてから作りましょう。
営業ツール・ホームページ
ホームページを作ることを考えもしない社労士も多いのですが、インターネットで企業やお店を調べるのが当たり前になっている時代なので、作っておいた方が仕事を得やすいことは間違いありません。
信頼を得るためにしっかりとしたものを作りましょう。最近では自分で作ることも可能ですが、デザイン的なことや検索ヒットの事を考えると専門業者に依頼することをお勧めします。
初期費用やランニング費用は掛かりますが、仕事が取れるようになれば十分に元が取れるようになります。
マーケティングを考える
マーケティングとは、狭義で言うと「広告宣伝やPRや市場調査」の事を指しますが、広義で言うと「仕事をとる為にするべきこと全て」という事になります。
例えば、あなたが社労士として選ばれるための理由を作ることもマーケティングになります。「選ばれる」とは他の社労士と比較して「違いがある」という事になります。つまりは「差別化」です。あなたが社労士としてマーケティングを考えるという事は、この差別化を考えるという事です。
「え?私は特に普通に社労士の試験に合格しただけで、他の社労士との違いなんて何もない」と思われるかもしれませんが、探してみるときっと他との違いがあるはずです。
ポジショニングと言う言葉もマーケティング用語になります。今や社労士に取ってもマーケティングの勉強は必須となります。社労士としての仕事をしながら違う勉強をするのは大変だとは思いますが、他の社労士との違いを出すためにも頑張りましょう。
マーケティングを営業ツールに落とし込む
マーケティングの勉強をして、自分のポジションを決めて差別化ができるようになったら、それを営業ツールに落とし込みましょう。つまり、名刺に〇〇が得意な社労士と書けるようになります。
また、ホームページも同じです。自分の強みが分かるようなホームページを作ることによって、その仕事の依頼が来るようになります。
しかし、誰しも最初から、全て完璧にできるわけではありません。簡単な名刺やホームページからスタートして、実務をこなしながら徐々に自分の強みを理解し、差別化が出来るようになってきます。
参考記事:
【アーカイブ配信|社労士様向け】成功事例から学ぶ!開業3年で100件超の顧問先を獲得した戦略と手法セミナー開催報告
【アーカイブ配信|社労士様向け】専門性を活かす事務所経営 ~障害年金|やりがいを強みにするコツとは~
社労士としてのサービス(メニュー)を考える
独立して仕事をとっていくためには、サービス内容と報酬(値段)を決める必要があります。
最初は難しいサービスを考える必要はなく、どこの社労士でも対応している一般的な仕事をサービスとして商品化することが基本となってきます。
まずは基本的な仕事を対応していきながら、世の中のニーズを見極めて新たなサービスを作っていくという流れがスムーズです。
給与計算代行サービス
労働者を守るという観点から、近年では法令改正が以前に比べてたびたびされるようになりました。
また、雇用保険料、社会保険料も変動します。時間外手当、割増賃金などについても、労務管理のプロが対応した方が良く確実でスピーディーに対応できます。
労働保険、社会保険手続き、各保険料の算出、給与計算、住民税、年末調整は連動した作業になってきますので、社労士にまとめて外注した方がはるかに安いコストで済みますので、まずは基本となるサービスとして給与計算代行サービスは対応できるようにしておきましょう。
雇用契約書の作成(従業員の入退社手続き)サービス
従業員の入社・退社に伴う「社会保険」や「雇用保険」などの諸手続きの代行サービスがメインになってきます。
年金事務所やハローワークへの届け出を全て行います。また、社員が入退社する際に必要な契約書の作成や説明内容などを提案するのもサービスの一つとなります。
参考記事:社労法務システム+Esia-Zero(イージア・ゼロ)とは? 給与計算・社会保険手続きを一元管理できる労務システムを詳しく解説!
労働社会保険手続き代行サービス
上記の従業員の入退社手続きサービスとほぼほぼ同じになりますが、各種保険に対する手続きだけを代行するサービスを単独で作ることもあります。
企業の規模や考え方によって、必要最低限の保険手続きだけを代行すればいい場合もあれば、しっかりと入退社契約を交わす必要がある場合もあるので、このようにサービスに幅を持たせておくのもいいでしょう。
就業規則の作成と変更サービス
※時としては10人未満になることはあっても、常態として10人以上の労働者を使用している場合も当てはまります。なお、労働者の中には、パートタイム労働者やアルバイトなども含まれます。
と、労働基準法で決まっているように、企業において、ある一定の労働者がいる場合には、就業規則の作成は必須となっております。例えば、まだ7人~8人程度の企業でも、就業規則の提案をするのは非常に有効です。是非とも、サービスとして対応できるようにしておきましょう。
助成金申請手続き代行サービス
2020年にコロナが流行して依頼、中小企業を支援するための補助金が非常に増えるようになりました。それに伴い、助成金申請手続き代行サービス会社も増加するようになり、社労士もその分野のサービスを始めることも多くなりました。
助成金申請は企業にとってはかなり難しいものであり、また申請が通過した後にも定期的な報告義務があることが多いため、負担が大きく、申請したくとも手を出さない企業が少なくありません。
それらのニーズに対応できるようなサービスがあることは社労士の強みになります。
その他様々なサービスがある
社労士のサービスはかなり幅広く、上記に上げたサービス以外に様々なものがあります。
例えば、「労務管理相談」「人事制度の作成」「賃金規定の作成」「評価制度の作成」「労使トラブルの解決」「インターン生の受け入れ体制構築支援」「ハラスメント管理」等があり、サービスを作ろうと思えば、いくらでも作ることが出来ます。
ただ、サービスは沢山作れば、仕事が沢山とれるかと言うとそうでもありません。まずは、基本的なサービスに対応できるようにすることからスタートして、徐々に自分の強みを作っていくようにしていきましょう。
報酬(値段)を決める
独立して仕事をとっていくためには、売る為の商品・サービスが必要であり、その値段(報酬)を決めていく必要があります。
しかし、実際にその報酬(値段)が適正であるのか?売れるのかどうか?という不安があるかと思います。しかしその前にまずは、どうやって世の中の商品やサービスの価格が決まるのかを理解しましょう
商品・サービスの値段はどうやって決まるのか?
原価計算方式(積算方式)
これは、原価がどれぐらいかかっているのかを計算して、それにプラス利益を追加する方法です。
例えば、かかっている経費が1万円だとして、それに対して自分の人件費と利益を追加して、2万円で売るというやり方です。
社労士で考えると、経費はほとんどなく(あれば別途計上してください)、多くが自分の労力である人件費になります。そうなると、これは自分のサービスを労働単価と時間で計算して算出するやりかたになります。
まずは自分の社労士としての目標月給を決めます。例えば、月20日間で60万円稼ぎたいとしたら日給3万円になります。時間で言えば時給3750円です(1日8時間労働と計算します)。就業規則を作成するサービスを作るとして、打合せ2日、ヒアリング3日、作成2日として合計7日間かかったとします。そうなると、1日3万円×7日間で21万円という計算になります。
これは、事前に自分がこの仕事を請け負った場合にはどれぐらいの時間がかかるだろう?どれぐらいの手間がかかるだろう?と想定して計算する必要があるわけなのですが、もちろん仕事に慣れていない初年度では、予想よりも時間がかかることがありますし、予想通りにいかないことも多々あります。ですので、値段は徐々に変更してももちろん問題はありません。初年度に21万円と設定したサービスだったとしても、翌年には25万円など変更してもいいのです。
ただ、一度契約したお客様に対して突然値上げしては納得されることが難しいので、普通は次回の新規のお客様から値上げすることが一般的になります。もちろん、ちゃんと説明して納得してもらえれば、従来のお客様に対して値上げしても問題ありません。
市場調査方式(価格調査)
次はマーケティングで言う市場調査をもとに商品やサービスの値段を決めていくやり方です。
例えば、「給与計算代行サービス」を市場調査して(インターネットで検索すればよい)平均的な価格を調べて、それに合わせるというやり方です。
市場価格を知ることは非常に重要で、あまりに高く過ぎるとかあまりに安すぎるという価格設定のミスを無くすことができます。調査することで、同業他社のサービス内容と価格設定を理解することが出来るようになるため、お客様に価格について質問をされても堂々と受け答えることが出来るようになります。
社労士の報酬は原価計算方式と市場調査方式のどちらがいいのか?
それでは、社労士のサービスの報酬を決めていくうえで、原価計算方式と市場調査方式のどちらがいいのでしょうか?
結論から述べますと、初期の段階では市場調査方式を取り、力や経験が付いたら原価計算方式に徐々に切り替えていく方式が良いでしょう。
理由は、原価計算方式は自分が欲しいと思える報酬から逆算して計算をしている為どうしても市場価格よりも高くなりがちです。新人社労士が市場価格よりも高い報酬を設定しても、市場のサービスよりも満足度の高いものを提供できる確率は低い為に解約率が高くなります。(もちろんそれ以前に市場より高い為に仕事を取ることが難しくなります)。
その点、市場調査方式では市場価格と合わせた価格設定にする為に、新人社労士としてサービスの品質が多少劣っていても市場価格とほぼ同じか少し安い設定にすれば仕事も取れますし、解約率が高くなることも防げます。
新人社労士にとっては、まずは市場価格に合わせて(少し安くしてもいい)仕事を受注して仕事に慣れてから、価格を上げていくという流れがスムーズです。
人脈
独立開業して1年目はとにかく分からないことや困ることが多いかと思います。今ではネットでほとんどのことは調べることもできますが、それでも直接丁寧に教えてくれる人がいたら心強いです。
独立開業直後はお客様からの質問や課題に対して、自信をもって対応することは難しいはずです。特に一人で開業することが多い社労士にとっては、毎日が孤独との戦いで、相談できる人が誰もいないというだけで開業当初のモチベーションが下がってきます。
そんな時に自分を支えてくれる人脈があれば、安心や勇気に繋がります。開業前から開業初期段階では人脈作りに積極的に動くのもいいでしょう。
同業者の人脈
それでは、どんな人脈がいいのかと言えば、まずは同業者である先輩社労士の人脈です。
先輩社労士が仲間にいるだけで、独立開業時の悩み相談や、仕事で分からないことなどを教えてもらえるので非常に助かりますし仕事も安心してできます。これについては、社労士会に登録することで様々な勉強会や会合に出席することで自然と知り合いや仲間が増えていきます。進んで話をすることで同業者の先輩との人脈が広がっていきます。
ただ、ここで注意してもらいたいのは、先輩社労士と仲良くなることで「与えられるだけの存在」になることはやめましょう。つまりは、「自分が分からない事を教えてもらう、知らないことを教えてもらう」だけに人脈を広げるのではなく、自分も必ず人に与える存在になれるように心がけることが大事になります。
例えば、新人社労士にとっては、まだまだ未熟で先輩社労士に与えられることが無いかもしれませんが、自分が少しでも成長したら、自分よりも新人の社労士に自分の知識を教えてあげるというスタンスが大事になります。また、自分が対応できない難しい仕事があったら、世話になった先輩社労士に仕事をお願いして、少しでも恩を返すという気持ちを先輩社労士に伝えることが人脈を確立する上で大事になります。
また、細かいことになりますが、他の社労士から有益な情報を得ることが出来たら、その場の食事代は自分が必ず払うという気持ちも大事になります。
違う士業の人脈
仕業とは弁護士、行政書士、司法書士など最後に「士」が付く職業のことを指します。
特に、税理士や中小企業診断士は中小企業との取引も多く、仲良くなることで仕事を紹介してもらえることも少なくありません。また、他の仕業の仕事や提案などの情報が社労士としての提案の幅を広げてくれることがあります。
積極的にどのように仕事をしているのか?どのように営業をしているのか?を聞いてみましょう。
保険募集人
保険の営業マン・セールスレディのことを保険募集人と呼ぶのですが、保険募集人も法人相手に営業をしている人が少なくありません。彼らとの人脈はこれからの人事コンサルにも非常に大事になってきますので、まずは自分からお客様を紹介するような姿勢で人脈を築いていきましょう。
経営コンサル
経営コンサルと言っても幅が広く、営業コンサル、マーケティングコンサル、人材コンサル、財務コンサルなどあります。中でも人材コンサルや採用コンサルをやっている人との人脈は非常に有益になってきます。社労士との相性も非常にいいので、お互い情報共有したりお互いのお客様をフォローしたりできる関係が望ましいでしょう。
メンタル
独立開業してすぐに事業が順調にいくことは少ないかと思います。
営業のやり方が分からない、自分の強みが分からない、仕事が取れない、仕事が取れたとしてもお客様の課題解決が出来ない、などなど不安や悩みでいっぱいになることもあります。
また、独立すると基本的には一人で全てをこなすことになるので、頼る人もいない、相談する人もいない、話す相手もいないなど、孤独の日々にメンタルをやられることもあります。
そんな時にどうしたらいいのでしょうか?
同じ社労士仲間があれば心強い
前述でも説明しましたが、同じ気持ちがわかる同業者の仲間がいることがなによりも安心材料になります。
先輩社労士も開業時にあなたと似たような経験をしていますので、あなたの悩みや不安に的確に相談に乗ってくれます。孤独でメンタルがやられる時にも、先輩社労士がいれば「自分は一人ではない」と思えるようになり元気をもらえます。
仕事が取れない事による不安
独立開業してなによりもメンタルがやられるのは、なんといっても仕事が取れない悩みです。
仕事が取れないことによって、経費だけがかかり、毎月が赤字になり、準備しておいた運転資金や生活費がどんどん無くなっていくことで不安が募ってきます。「このまま仕事が取れなかったら、半年後には生活すらできなくなってしまう!」などと考えると、仕事にも集中できなくなってしまいます。
そんなことにならないようにするために、事前に創業融資を受けて余裕資金の準備をしたり、いきなり独立開業しないで、副業から始める、アルバイトなども併用しながら独立するなどを考えるのです。
独立するという自由なメリットがある反面、資金管理をしっかりしておくということが大事になってきます。独立開業する前には、必ずこの資金繰りのことを入念に計算してから独立するようにしましょう。
モチベーションが下がる
営業がうまくいかない、仕事がうまくいかない、毎月赤字、などネガティブ要素が溜まってくると、独立すると決めた時に盛り上がっていたモチベーションが下がってしまうことがあります。また、「自分には独立開業する力なんてなかったんだ」と諦めの気持ちが湧くこともあるかと思います。
そんな時には、自分が「何のために社労士になったのか?」「何のために社労士として独立しようと思ったのか?」を思い出すようにしてください。きっと、自分の強い想いがあったはずです。また、将来の目標やビジョンがあったはずです。
今、成功している先輩社労士も最初から全てが順調だった人は多くはありません。誰でも一度は「自分は社労士に向いていない」「自分には独立開業なんて無理だ」と思う事があります。そんな時には、初心に戻って、仕事に対する想いやビジョンを思い出すようにしてください。
〈作者紹介〉
代表取締役 青木義郎
〇中小企業経営コンサル 〇開業支援コンサル
人材採用と人材教育の表裏一体の人材戦略に力を入れることで経営戦略を軌道に乗せることを得意としている。