【社労士に聞く】持病を持つ社員の対応について

安全衛生・リスクマネジメントQ&A
<質問>持病を持つ社員の対応についてどのようにすればいいでしょうか
会社としてどのように対応すべきでしょうか。
<社労士の答え>
安全配慮義務と業務命令
本人の言葉通り出社させ、病状が悪化した場合には、安全配慮義務を怠ったとして、会社が責任を問われることになりかねません。まずは、本人の健康状態を的確に把握するため、面談等を実施し、現在の労働条件や業務負荷が適正であるか否かの判断と、それを踏まえた上でどのような対策を講じていくべきか、産業医等へ相談してみてはいかがでしょうか。
また、今回の措置が病気治療という目的に照らして合理的で相当な内容であり、就業規則等規定に基づく業務命令であれば、社員は業務命令に従う義務があり、企業が安全配慮する上では社員も企業に対して「安全確保に協力する義務」を負いますので、健康管理上必要な措置に対し協力しなくてはなりません。業務に支障をきたしているようであれば、健康管理措置への協力が労働者の義務となります。
従って、業務命令違反として懲戒処分を科すということも考えられますが、あくまでも本人の健康への配慮である点を丁寧に説明し、理解を得ることをお勧めします。
尚、持病の悪化に伴い、正常な勤務に耐えられないと判断できる時には、退職勧奨や解雇の取り扱いも可能ではありますが、それは最終手段です。企業には安全配慮義務と同じく「解雇回避努力義務」もあるため、持病に対する配慮や休職等の手順を経た上で、それでも状況が改善しない時は、退職勧奨や解雇も有り得ると考えるのがよいでしょう。
人事の視点:従業員とのコミュニケーションや安全・健康管理のフローを構築しましょう
持病を抱える人にとって「持病のせいで仕事を失ってしまったら困ってしまう」という感覚は拭えないものだと思います。その心理作用から、会社側の配慮を受け入れなくなり無理をし病気を悪化させてしまっては元も子もありません。
従業員と会社の双方の意思が意図しない方向へ進まないようにするために相互理解は不可欠です。また、2021年4月より改正高年齢者雇用安定法が施行されます。歳を重ねていくにつれ持病を抱える人は増加します。そういった状況の中での適切な対応が求められます。従業員とのコミュニケーションはもちろんのこと、産業医との連携など健康管理のフローを構築しましょう。