まだ間に合う!雇用調整助成金の緊急対応期間が12月末まで延長

まだ間に合う!雇用調整助成金の緊急対応期間が12月末まで延長

 4月7日、新型コロナウィルス感染拡大防止のため首都圏を中心に緊急事態宣言が発表されてから間もなく5カ月が経過しようとしています。

4月以降、国や自治体が様々な補助金・助成金などで会社や個人を支援しています。多くの企業が前年と比べて売り上げが下がりましたが、従業員にはこれまでと同様に給料を支払わなければなりません。支払った給料に対して国が一定の助成をするのが雇用調整助成金です。すでに雇用調整助成金の申請を済ませた企業も多いことでしょう。

 

これまで多くの添付書類が必要だった雇用調整助成金ですが、緊急事態に対応すべく何度も改正され、現在では書類添付が簡素化されましたので、助成金を初めて申請する事業主の方も取り組みやすくなりました。

 

また、緊急対応期間が2020年12月末まで延長となりましたので、休業していた(あるいは時間を短縮して従業員を勤務させていた)のに雇用調整助成金を申請していなかった企業はまだ申請が間に合いますので、ぜひ申請してください。

ガイドブックが8月25日に更新されましたので、ここで今一度、雇用調整助成金について確認していきましょう。

1.支給対象となる事業主とは?

①雇用調整助成金の特例で「新型コロナウィルス感染症の影響」により「事業活動の縮小」した事業主が対象となります。事業活動の縮小とは、休業した初日が令和2年4月1日以降の場合、前年同月比で5%以上の売り上げが減少していることが原則となります。比較できる前年の売り上げがない場合や、1年前や2年前の同じ月と比較しても要件を満たさない場合は、休業した月の1年前の同じ月から休業した月の前月までの間の適当な1ヵ月との比較が可能ですので、かなり要件が緩和されました。

 

②雇用保険に加入している事業主が対象となります。申請時には雇用保険適用事業所番号が必要ですので、こちらの番号を確認しておくと安心です。

 

③休業中の取扱いについて労使間で協定をしていることが条件です。休業中の実施時期や日数、対象者、休業手当の支払い率などを先に決める必要がありますが、事前に協定が結べなかった場合でも従業員の過半数を代表する従業員代表(労働組合等)との確約書等による代替が可能です。

2.支給対象となる期間と日数は?

1年の期間内に実施した休業について支給対象となります。休業を行う場合、原則として対象期間内の実績を1ヵ月単位で判定し、それに基づいて支給されるのですが、この期間を「判定基礎期間」といいます。

 

①支給対象期間:通常は毎月「判定基礎期間」ごとに支給申請をしていきます。複数月を同時に申請することもできますが、休業した実績一覧表などは毎月の判定基礎期間ごとに作成しなければなりませんので、注意が必要です。

 

②支給限度日数:本来の雇用調整助成金は支給限度日数があり、1年間で100日分、3年で150日分が上限ですが、緊急対応期間中の休業日数は支給限度日数に含まれません。

 

また、この支給日数の考え方ですが、休業を実施した労働者が1人でもいた日を「1日」とカウントするのではなく、休業の延べ日数を、休業を実施する事業所の労働者のうち本助成金の対象となりうる「対象労働者」の人数で割った日数を使います。

例:事業所における対象労働者10人、このうち6人が5日ずつ休業した場合

6人×休業5日=30人日/事業所全体10人=支給日数3日(残り97日)と数えます。

ちょっと複雑な考え方ですよね。緊急対応期間終了後はこのように支給日数を計算することになります。

3.支給対象となる従業員は?

雇用保険被保険者(週20時間以上勤務し、かつ31日以上の雇用の見込みのある人)が対象となります。

ただし、解雇を予告された方や退職願を提出した方、事業主による退職勧奨に応じた方は対象外となりますので注意が必要です。解雇予告された日や退職願いを提出した日までは対象労働者となります。

4.支給対象となる休業とは?

以下の①~⑥の要件すべてを満たす必要があります。

  1. 労使間の協定による実施されるもの
  2. 事業主が自ら指定した対象期間内(1年間)に行われるものであること
  3. 判定基礎期間における対象労働者に係る休業の実施日の延日数が、対象労働者にかかる所定労働延日数の1/40(大企業は1/30)以上となるものであること
  4. 休業期間中の休業手当の額が平均賃金の6割以上であること
  5. 所定労働日の所定労働時間内において実施されるものであること(公休日は当然対象外となります)
  6. 所定労働日の全日(丸1日)にわたる休業、または所定労働時間内に部署・部門や職種、役職、担当、勤務体制、シフトなどにより行われる1時間以上の短時間休業、または事業所一斉に行われる1時間以上の短時間休業であること

5.助成額は?

さて、いよいよ助成額ですが、計算は休業を実施した場合に支払った休業手当に相当する額に助成率を掛けて算出します。助成率は解雇を行わない中小企業の場合は10割ですが、細かい要件がありますので、確認が必要です。1人1日あたりの上限額は 15,000円です。

6.支給申請に必要な添付書類

①月ごとの売り上げがわかる書類(売上簿や収入簿、レジの月次集計など)

②出勤簿、タイムカードの写し(手書きのシフト表でも可)

③休業手当や賃金の額がわかる書類(賃金台帳や給与明細の写しなど)

7.申請書類はどこで入手できる?

厚生労働省のホームページに雇用調整助成金の申請書類一式がアップロードされています。まずは、「雇用調整助成金ガイドブック(簡易版)」をダウンロードしてください。記入例や必要書類が書いてあります。また、助成額を計算するにあたって、労働保険概算・確定保険料申告書や所得税徴収高計算書が必要になりますので、申請書作成時にはお手元にご準備ください。

 

時間短縮営業したり、勤務日数を減らしたのに給料は減額しないでそのまま支払っている場合も雇用調整助成金の支給要件に当てはまりますので、管轄のハローワークに問い合わせてください。またアルバイトやパートが多く、雇用保険に加入していない会社であっても、「緊急雇用安定助成金」という助成金があります。こちらは、支払った休業手当について助成されるもので、申請書類もシンプルなものです。

このコロナ禍を乗り越えるよう上手に助成金を活用していきましょう。

特定社会保険労務士 古川天(社会保険労務士法人TENcolors)

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